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いくつかの情報発信ルートの中で、もっとも検索に引っかからず、よって、本音も書けるのが当掲示板です(笑)
薪ストーブを検討している方は、皆さん情報を一生懸命拾いに行かれてて、それは私たちプロを凌駕しているのですが……
今さらですが、やっと、わかりました(笑)どうして色々考えていらっしゃる方ほど「高気密住宅なら外気導入は必須」と言うのか
あえて紹介しませんが、そういう動画があるんですね~~よく探したら、その動画を出しているメーカーさんの関係で、いっぱい、出てますね、似たような情報発信。「安全」という錦の御旗で。
いかにも「なるほどー」と思ってしまうのは無理もありません。これ……私のような、焼却炉の排ガス中の成分測定をしていたとか、密閉陰圧の実験施設を管理していたとか、そういう人間でもなければ「おや?」って、そのおかしさに気が付かないと思うのです。
動画などではこう説明されます。
1.近年の高気密住宅では、室内を「9.8パスカル」の陰圧に保つことで、換気を確保している。 2.薪ストーブは巡行運転では煙突の負圧(吸入力)は30パスカルなど、これを上回るが、冷めてくると、この陰圧に負けてしまうようになる 3.よって一晩焚いていたりしたら、一酸化炭素が逆流してくるなど危険。必ず外気導入の燃焼システムを持っておかなければならない。それが「近年の」ドイツその他先進国での常識
動画の、こんな説明みれば、こわい!しっかり外気導入にしなきゃ、って思ってしまうのも仕方ないと思うのですね~~
けど、数値を具体的に知っている人間からしたら「え??ホント?」なんですよ。
何故なら、例えば密閉陰圧の実験施設って20パスカル程度の陰圧に室内を保っているものですが、外部との開閉ドアってそれなりに空気抵抗を感じるのですよ。それなりに重いのですね?
http://www.itsuki-sangyo.co.jp/11/03_unyou.html
なにしろ9.8Pa、身近なものに置き換えると、1平方センチメートルあたり1mmの水圧がかかっているのと同じ、つまり0.1グラム/平方センチなのですが……
扉の面積を仮に1.5平米だとすると 15000×0.1=1500グラム これだけの重さが、余分にかかっていなければならないのですよ。常時。 高気密住宅のドアって、いつも重いですか??換気扇を強にでもしていれば別ですけど……
これ「9.8パスカル」が早とちりなのか誤読なのか意図的なのかわからないですけど「ウソ」なんですよ、じゃあ「9.8パスカル」が何かというと「測定条件」なんですよね、すきま値、C値の測定条件(右上リンク)
https://www.asahikasei-kenzai.com/akk/insulation/customer/neo/recommend/1-7.html
もしよろしければ、この原典となる測定方法を定めたJISがこちら。
http://www.kikakurui.com/a2/A2201-2017-01.html
平たく解説しますと、換気のために設けられた本来の吸気口をしっかりを目張り密閉しまして(大事)、一か所から送風機で空気を吸いだして、そしたら負圧になりますよね?その状態で「9.8パスカル」の負圧になった時に、この「負圧を達成するために必要な送風量から、すきま値を計算で求める」という測定法です。
要するに、高気密住宅で本来の吸気口を塞いで目張りして、空気を吸いだして実現するのが「9.8パスカル」であって、高気密住宅が、台所換気扇を強にでもしていないのに「9.8パスカル」って……そりゃ、よほど24時間換気の吸排気設計まずいんじゃないですかって(笑)
第一、もし、外気導入しなければ危ないのが事実なら、外気導入なんてやったこともない弊社でも、何件も高気密住宅やってますが、一酸化炭素中毒事故か、少なくとも臭いのクレームくらい発生してますよ……ひとつもないです、今のところですが。
その他にも、この情報源の動画って、ツッコミどころがあってですね……なんというか、あくまでも私に言わせればですが「トンでも科学」の類に近いんじゃないか??とか思わなくもないのですが……
個人的には面白いので、ちょっとネタにさせて頂いて、専攻課程とかにでも解説しようかなとか思っております。
ちなみに外気導入に関する弊社の見解は、投稿No.250等に述べたとおりで、ただこれは該社さんの見解では「負圧対策吸気口」というもので本当の意味での外気導入ではないのかなとも思いますね……
いずれにせよ、いわゆる外気導入ダクト接続のようなものが必要かどうかは、私は「薪ストーブ本体による」ということで良いんじゃないかと思います。
長文失礼しました~~~ |